スーツの各部位の名称と種類





肩線/ショルダーライン

スーツのデザインによって直線的なラインや、丸みを帯びたラインがある。
見た目ではあまり変化はないが、着たときのフィット感が人によって異なる。

衿刻み/ゴージ

カラー(上衿)とラペル(下衿)の縫い合わせた境目の縫い線のこと。
タイトや、クラシコイタリアのスタイルにある高めのゴージラインは、高度な技術が要求される。

衿型/カラー&ラペル

上着に欠かせないラペルは詰襟の、体にフィットした軍服から生まれたものである。この窮屈な軍服を少しでも楽にしようとした兵士たちが第一ボタンを外して、胸元を左右に開いたことにはじまる。この楽々としたスタイルが兵士以外の一般人にも拡がることによって、テイラーは襟にノッチ(刻み)を採用するようになった。
同時にラペルにボタンホールを飾るようになった。実はこれ、第一ボタン穴の名残りなのである。これを今ではノッチドラペル(普通襟)と呼ぶ。
そのラペル幅はシャツの襟やネクタイの幅と連動して広くなったりするが、クラシックスタイルは上着の胸幅の半分以下に抑えられた決して広すぎない襟なのである。



前裾/フロント・ライン

レギュラー・カット
ごく一般的なフロントカットの形状。

カッタウエー(Cutaway)
前裾を大きく切り落とした(カッタウェイ)スタイルを指す。
モーニングコートの裾が代表的で、アメリカでモーニングコートをカッタウェイと俗称することが多いのは、もともとフロック・コートの前裾を斜めに大きくカッタウェイしていることに由来する。
クラシコ系スーツにも多く見られ、立体感を出しつつ、胸から裾に向って体に沿いながら、流れるようなラインを生み出すには高度な技術が必要である。

ラウンド・カット
1820年ごろから出現。上衣の裾をまるく断ったもので、今日の背広の原型。ディナータイムの燕尾服が堅苦しい事からラウンジでくつろげるものとして考えられた。

スクエア・カット
上着の前裾丸みをつけず、角型にしたもの。レジャー用のジャケットなどによく見られるデザイン。


馬乗り/ベンツ

ノーベント
切れ込みが全くない仕様のこと。シャープで遊び心を感じさせる、ソフトなシルエットのスーツによく用いられるほか、礼服にも多いデザイン。レディーススーツはほとんどノーベントです。

インバーテッド・ベント
切れ目をいれずにたたみヒダにしたベントインバーテッド・プリーツともいわれています。

センター・フック・ベント
鉤(かぎ)型のセンターベントのこと。アメリカン・トラッドの特徴の1つで、アイビー調のジャケットやモーニングコートなどにみられる。「鉤型ベンツ」ともいう。

サイド・ベンツ
左右に切れ込みが入ったデザインのこと。英国調、シングル3ボタンのジャケットに多い。英国貴族がサーベルを下げるのに便利なように施したことから、「剣吊り」とも言う。

センター・ベント
中央に1本だけ切れ込みがある。シングル2ボタンのジャケットに多く、乗馬の際に動きやすくするために生まれたデザイン。


前ひだ/タック

パンツの前身頃に、ウエスト部分からつけられている1本または2本のヒダ。俗に言う「タック」のこと。
プリーツの向きが内か外で、インボックスプリーツとアウトプリーツに分かれる。プリーツは下半身の動きを助けるパンツの「遊び」である。


裾口/ボトム

ズボンの折り返し
クラシックなスーツのズボンには、燕尾服やモーニング、さらにタキシードの例をだすまでもなく、もともと折り返しが付いていなかった。だが現代のスーツでは、むしろ付いていた方がクラシックに見える。折り返しがないズボンはエレガントではないと断言するイタリア人もいる。ラウンジスーツが誕生した頃の生地は非常に重量感があり、折り返しという発想自体が存在しなかった。20世紀初めに英国のある貴族が、ニューヨークで行われた結婚式に参列する途中雨に遭い、ズボンの裾を折り曲げ、それが定着したという歴史を持つ。男の服は、たいていの場合単純と偶然から進化する。
現代の生地素材は当時に比べ、ずっと地が薄く、糸も細く繊細な細工がほどこされているため、折り返しを付けないと足元が不安げに見える。折り返しを付けることによって重量感が加わり、靴とのバランスがスムースになる。折り返す幅は、スーツスタイルによって違ってくるが、目安は3,5~4センチまで。その範囲外は、たいていの場合バランスが悪くなるか、下品な印象を他人に与える。
折り返しは、生地と素材との関係、ズボンとのバランス、またはスーツスタイルによる変更であり、実用とは関連が無い装飾性から生まれたもので、したがってクラシックの範疇である。
ついでながら、日本の洋服屋はズボンの折り返しを内側からホックで留めるが、ホックは上から見るとキラキラ光り、英国やイタリアのように目立たぬ色の糸で固定する方法が正しい。
 

ダブル
スラックスの裾の折り返しのこと。主にイギリスで使われる言葉。ターンナップが付くようになったのは20世紀のはじめのことで、最初は特にターンナップ・トラウザーズの呼び方がされた。それまでは、すべてシングル仕立てとされていたのだが普通で、雨に濡れるのをおそれて裾を折り返したことに始まるといわれる。

モーニング・カット
アングルド・ボトムの俗称で、スラックスの裾を後ろ斜め下にカットしたものを言います。前後の高さを1.5~2cmとしたものが本格的とされます。モーニング・コートのトラウザースがこの形となっている事から呼ばれる。